自由進度学習は、子どもたち一人ひとりのペースやニーズに合わせて学びを進めることで、理解度の向上や学習意欲の喚起につながる有望な手法です。実践した学校では成績向上や主体的に学ぶ態度の育成など多くの成果が報告されています。一方で、効果を十分に引き出すには周到な指導設計とサポート体制が必要であり、従来の授業スタイルからの転換期にある現場には負担や試行錯誤も伴います。紹介したような工夫(部分的な導入、計画支援、協働学習との組み合わせ、教師間の協力など)を凝らしつつ、学校全体で継続的に改善していく姿勢が求められます。 

21世紀を生きる子どもたちにとって、「自分で学び、自分で考える力」を育む自由進度学習は大きな意義があります。教室の風景を一変させる取り組みではありますが、その先にはすべての児童生徒の可能性を引き出す学びが期待されています 。今後、現場から蓄積されるエビデンスと知見をもとに、自由進度学習の実践がさらに改善・発展し、より多くの学校で子どもたちの未来を拓く学びとして定着していくことでしょう。改革期ならではの課題に向き合いつつ、子ども主体の学びを実現する歩みは着実に前進しています。