今、保護者向けに一般書を書いています。
こういった原稿も公開していきます。


20×4という計算があったとき、計算の仕方を考えてみようと言うと、
「まずは2×4=8    8に0をつけて80」
という子に出会うことがよくあります。

こういった子は計算は「できる」子かもしれません。
でも、計算の意味は「わかる」子ではないかもしれません。
こういった子を便宜上、「できわから」くんとします。
「できわから」くんはよく学校で出会います。
私の経験上ですが、ハッキリ言いましょう。
この「できわから」くんはある程度は伸びます。
でも、グンっと伸びることはあまりありません。

20×4という計算の仕方として、次のような2通りが考えられます。

①20×4=10×(2×4)
20は10が2つ。2×4=8。    つまりは、10が8個。
だから、80になる。


20×4    =80
↓÷10        ↑×10
2    ×4    =8
20÷10すると2、2×4=8    最初に÷10をしているから、×10をすると80

どうですか?ややこしかったですか?
そういえば、こんなことをしたな〜と思い出す方もいるのではないでしょうか。
子どもたちの宿題では、あまりこういう問題は出されません。
「まずは2×4=8    8に0をつけて80」はどちらかといえば、わかりやすいですよね。だから、ややこししいことというよりもわかりやすいことを子どもに教えてあげようと我々大人はやさしさで行うのかもしれません。

でも、そのやさしさは子どものためにはなっていないのです。
実は①や②は、20×4の学習までに、全部登場してきています。

①0.2×4=0.1×2×4
0.2は0.1が2つ。2×4=8。    つまりは、0.1が8個。
だから、0.8になる。

②0.2×4=0.8
    ↓×10        ↑÷10
            2×4=8
0.2×10をすると2    2×4=8    最初に×10をしているから、÷10をすると0.8

どうですか?気づくことはありませんか?
①と②は同じ考え方
ということです。だから、この考え方がわかっていれば、大人が教えなくても、自分で考えることができます。
もし、わかっていなければ、「まずは2×4=8    8に0をつけて80」の小数×整数バージョンのことを教えないといけない、子どもは覚えないといけないのです。

整数×整数、小数×整数とくれば・・・。
そうです。分数×整数でも同様のことが言えます。
余談ですが、整数×整数、小数×整数の次は分数×整数という予想する力も算数では必要になってきます。
さて、話を戻します。9分の2×4の分数×整数でもできるのでしょうか。

①9分の2×4=9分の1×2×4
9分の2は9分の1が2つ。2×4=8。    つまりは、9分の1が8個。
だから、9分の8になる。

②9分の2×4=9分の8
    ↓×9                    ↑÷9
            2×    4=8
9分の2×9をすると2    2×4=8    最初に×9をしているから、÷9をすると9分の8

ほら、できたでしょ?
もしこの方法がわかっていなければ、「まずは2×4=8    8に0をつけて80」の分数×整数バージョンのことを教えないといけない、子どもは覚えないといけないのです。
なぜか「できわから」くんはこういった①や②を軽視しがちです。
「できたら良い!」という考えが強すぎるのでしょう。
どうして「できわから」くんがグンっと伸びることはあまりないのか、なんとなく気が付きましたか。問題に出会ったときに、その考え方を教える必要があるからです。
つまり、その考え方を教えてもらないと、子どもたちは動き出せないということです。