4月。新学期が始まって、子どもたちと出会ってから2週間が経ちました。
クラスの名前を呼ぶのにも少しずつ慣れ、子どもたちの表情や声、反応から、それぞれの個性や空気感をつかみ始めているころかもしれません。

一方で、こんなふうに思っている方もいるのではないでしょうか。
「春休みに立てた計画通りに授業が進んでいない」
「思っていたよりも子どもたちが動いてくれない」
「こんなはずじゃなかった」――と。

でも、それでいいのです。
むしろ、その「うまくいかない感じ」こそが、教師としての本当のスタートラインなのかもしれません。

やりたいことは、思い描いた通りに進んでいますか?


4月初め。年度当初に、「こんな学級にしたい」「子どもたちとこんなふうに関わりたい」「授業ではこんなことをやってみたい」と、意気込んでいた方も多いと思います。

教育書を読み返したり、先輩の実践を真似てみたり、自分なりの工夫を施したりして、準備万端で新年度を迎えたはずです。

でも、現実の教室には教科書通りの展開も、理想的な子どもの反応もありません。想定よりも話を聞けない子、授業に乗れない子、雰囲気が作れない空間…。思い通りに進まないのが当たり前です。

できていないからこそ、焦らずに向き合える

「計画していたことが全然できていない」と感じるとき、私たちはつい焦りを感じてしまいます。「このままでいいのかな」「周りの先生はもっと進んでいるのに」「自分の力不足ではないか」と。

でも、どうか焦らないでください。
目の前の子どもたちとの関係づくりは、たった2週間では見えないことだらけです。
むしろ今は「できていないこと」にこそ、学びの芽がたくさん潜んでいます。

■ 授業が止まった場面に、子どもの思考のつまずきがある
■ 指示が通らなかった瞬間に、関係性の再構築が必要なサインがある
■ 思い通りにいかなかった活動に、見直すべき教師の問いがある

計画通りに「うまくいく」ことよりも、計画通りに「いかないこと」に、教師としての成長の種が詰まっているのです。

スムーズじゃなくて大丈夫。まだまだ、スタートライン


今はまだ、子どもたちも先生のことを探っています。
先生もまた、子どもたちのことを知っている「つもり」で、まだまだ見えていないことが多いはずです。

それはお互いにとって、これからの時間が「発見」と「関係づくり」の連続であるという証拠。
焦って一気にゴールを目指すのではなく、一歩ずつ、丁寧に踏みしめていく。
そうやって積み上げた日々こそが、信頼を生み、子どもたちの学びを支える土台になります。

直線の坂道より、アップダウンのある坂道の方が速い?


こんな問いをご存じですか?

「直線の坂道」と「アップダウンのある坂道」、どちらが先にゴールにたどり着くと思いますか?

答えは、意外にも「アップダウンのある坂道」です。
これは物理学の話で、重力のエネルギーを利用してスピードを得るため、最初に下り坂を含むほうが結果として速くなるのだそうです。

教育も同じです。
順調に一直線に進むより、失敗や迷いを含む「アップダウン」のある日々の方が、学びも、関係性も、教師としての成長も、確かなものになります。

だから今、うまくいっていないことがあっても大丈夫。
むしろ、アップダウンを経験しているからこそ、教師としての加速力がついていくのです。

すべては、子どもと共に成長するための糧

この時期に感じる「できなさ」や「悩み」は、何も悪いことではありません。
むしろ、理想と現実のギャップを乗り越える経験こそが、あなたを「本物の教師」に育ててくれます。

うまくいかない日は、自分を責めるのではなく、「今日は新しい発見があった」と捉えてください。
うまくいった日は、自信を持って、明日への力にしてください。

すべては、子どもたちと一緒に「成長する」ための糧です。

まだまだ、スタートライン。
これからの毎日が、きっと教師としての宝物になるはずです。

今週もお疲れ様。先生も子供達も。