1 ある11月の算数授業
11月の算数授業の板書です。この板書がこの日のメインです。
(写真省略)
3年生下教科書79ページの授業です。このページには問題文があり、
① 立式する
② およそ何円になるのか
③ 計算の仕方を考える
123×32の32を2と30に分ける
④ 筆算の仕方を説明する
⑤ 適用問題を解く
という教科書構成になっています。
実際の授業では、今日、学習するのは「3桁の数×2桁の数の筆算の計算」と提示をしました。すると、子どもたちからは、
「オナジンが登場するよ」
「ワッケルも出てくるよ」
と言ったモンスターの名前がでてきます。
「本当に出てくるの?」
「本当だよ!2桁の数×2桁の数の筆算の発展だよ」
「確かめるために、何か問題を出してよね」
といった声が子どもたちから聞こえてきました。そこで、123×32の式を提示し、考える時間を設けました。
この時間の子どもたちのように、私は子ども達自身がモンスターを活用する授業を目指しています。このモンスターが子どもたちにとっての「共通言語」になります。この共通言語を使うことで、子ども達自身でも学びを深めていくことができます。
この子たちは、4月の新学期からできてきたわけではありません。3つのステップののちできるようになったのです。本稿ではその3つのステップを紹介します。
2 ステップ1 「黒板に貼れ!」
黒板の横に、考え方モンスターを貼っておきます。同じモンスターを複数作成しています。モンスターを印刷し、ラミネートし、後ろに磁石を貼っています。
これだけで、モンスターを子どもたち自身が活用してはくれません。モンスターを活躍させないと、子どもたちは使ってくれるようにはなりません。
しかし、考え方モンスターということを視覚化できたり、自覚したりすることができます。「何、それ〜!」という反応が子どもたちからあります。そもそも子どもたちはモンスターを自覚していないのです。教科書で何度も登場していながら、ほとんどの子が知らないのです。モンスターに、考え方モンスターに着目していないのです。
ちなみに、タブレット端末を頻繁に使用する樋口学級では、クラウド上に考え方モンスターを入れており、子ども達自身が必要と考えたときに子ども自身で取り出せるようにしています。
3 ステップ2 「モンスターを登場させろ」
① 「算数は、これまでの学習を使って、新しい考えを創り出す教科です。」
②「ポケモンでバトルをするとき、それぞれポケモンを繰り出すよね。それと一緒で実は算数にも考え方モンスターにいるんだよ。考え方モンスターを繰り出して、考えているんだよ」
といった話を前提話として、子どもたちには伝えています。
その上で、次のような場面でモンスターを登場させる場面を仕掛けます。
見通しの場面です。
「どんなモンスターが登場すると思う?」
と子どもたちに問いかけます。
考えを全体で解釈し終えた後の場面です。
「今、どんな考え方モンスターが登場したと思う?」
と子どもたちに問いかけます。
授業最後の振り返る場面です。
「授業全体でどんな考え方モンスターが登場したと思う?」
「1番大事な考え方モンスターはどれだろう」
などと子どもたちに問いかけます。
いずれの場面でも、子どもたちが言ったモンスターを貼るようにしています。そして、次に似たような場面が出てきたときに、子どもたちから「また(モンスターの名前)がいる」といった発言を聞くことができるようになります。このような発言をする子たちは、既習と本時を結びつけていると言っても過言ではありません。
4 ステップ3 「モンスターを使っている子をみつけろ」
モンスターの話題をしていなくても、子どもたちから、「先生、(モンスターの名前)がいるよ!」「(モンスターの名前)を発見!」といったモンスターに関する話題が出てきたときはチャンスです。
「すごいね!自分たちで考え方モンスターを発見し、GETできたね」
とその子の発言を意味付けていきます。意味付けていくことで、子どもたちは価値を見出し、自分たちでどんどん活用していくようになります。
そんな樋口学級の子どもたちが今年1番盛り上がったのは、授業中にある子が発見した「わっけるが登場するとまとめーるも登場する」というきまりでした。実は、私も気づいていんかったことです。これ以降、数の計算の仕方について考えることが好きになるほど、みんなの許通言語になりました。
また、この発言を聞いた子たちは、教科書やタブレット端末で撮影していた私の板書を見返しました。他にモンスター同士のきまりがないか授業後に探している子もいました。実は、冒頭の写真にも写っていないところにまとめーるがいるのです。